2019年8月31日土曜日

Chapter3:聖騎士アルディン-2

『チルチの森』

〇尾根~チルチの森~聖堂のある小さな村


   クローヴァを出ると行き先はチルチの森のみ
   尾根沿いの道を森に向かい一人歩くアルディン




アルディン「……俺は何をしているのか」

   (モノローグ)

  ~聖祖メリアの御世より一千年余……
   我らは聖祖の教えを守り生きてきた

   俺は聖祖の言葉と学問を修め戦いの技を覚えた

   ……それは民の為ではなかっただろうか?

   岩と砂の多き故国を出でて幾年月……

   この神征は何のためであったか……
   血を流し倒れ伏し尚行くのは何故か……?

   侵略者から民を守る為……
   禍根を断つべく邪教を滅ぼす為……

   世界を浄化し
   預言にありし神の国を迎える為……

   半ばより目的は変わったのであったか……~

   (モノローグ終了)


アルディン「……何を迷うか

     聖祖よ……我が迷妄を取り去り給え……」


   少し歩きひとりごち


アルディン「さて 今さらバイア・フレーに戻るも気が引けるが
     この道は何処へ向かうものか……

     !」

   人が倒れているのを発見し駆け寄る

   メリア風の装い


アルディン「むう……手ひどくやられている……」

男「……
 ウッ……」

アルディン「息があるか!
     ……助かるか……⁉」
   しばし 介抱するが 何かに気づいて後退る 

アルディン「……
     ……
     ……
     !(後退る)
     ……むう
     こやつ……
     フレーニア人であったか……」


     時間経過


男「……
 ……う?」

アルディン「気が付いたか……」

男「お……」

アルディン「待て!
     何も語るな
     お主がフレーニア人であるなら斬らねばならん
     手当てをして命を奪うのも虚しいが
     どの道その傷 長くは無かろう

     口を閉ざすならば俺には真偽は分からぬ
     長らえた時間をお主の神に祈るがいい」

男「……」

アルディン「……では さらばだ」

   アルディン、男を置いて立ち去ろうとする

男「……待て」

アルディン「……引導が欲しいか?」

男「……へ ヘヘ
そうかも知れねぇ……」

アルディン「戯言ならば聞かぬ……」

男「待ってくれ……!
 そうじゃない……

 あんたこの先の道を行くのか?」

アルディン「……」

男「……この先はチルチの森だ
 魔獣が巣食う古くて深い森だ
 余程の運が無けりゃ案内無しには抜けられないぜ……?」

アルディン「……」

男「……なぁ
 後生だ……
 ほっといても死ぬってんならよ
 一緒に連れて行ってくれ……!」

アルディン「何を……!」

男「俺は……
 俺は どうしてもこの森の先に行かなきゃなんねえんだ……」

男「なぁ!
 頼むよ……!
 死ぬはずだったのを助けられたんだ……
 頼む……!
 なぁ……」


アルディン「……
     案内は出来るのだな?」

男「!
 あ ありがてぇ……!
 コイツはきっと神さまの思し召しだ……!」

アルディン「貴様の神は知らぬ……

     ……動けなくなった時は置いていくぞ」

   (モノローグ)

  ~これも神の思し召しか……
   あるいは我が心の弱さか……~

   (モノローグ終了)



〇チルチの森


   男の案内で森を進む


男「三日も歩けば抜けられる……
 ……それまでは まぁ 保ちそうだ……」


〇野営地1



男「……今日はココまでだ」

アルディン「人が開いた跡だな……」

男「ここは隊商の野営地なんだ」

アルディン「……そうか……」


〇野営地1(夜)


   野営の最中物思いに耽るアルディン


   (モノローグ)

  ~なんと深い夜であろうか……
   豊かな国だ……

   フレーニア……
   この国に来てからであろうか……

   兵は浮き足立ち 騎士までもが聖絶を忘れ私服を肥やさんとする……



   富は……人々の心を曇らせるものなのか

   これは試練か……

   ……我らは今信仰を試されている

   ……神官ならば言うであろう
   神の国に入る資格を問われているのだ

   神よ……

   ……~

   (モノローグ終了)
   

アルディン「神よ……」

   フレーニア人の男が反応する

男「……なぁ
  あんた そんなナリしてるが聖騎士だろ?」

アルディン「……」

男「……いや 詮索するとかそんなんじゃ無えんだけどよ……
 昼間の戦いぶりとか 物腰とかな……?
 それに アンタ今
 祈ってたろ……?」

アルディン「……神に仕える身でなくとも
     人は神に祈るものであろう……」

男「そうか……?
 うん いや……

 ……うん
 そうかもな……
 俺も祈ることがある」
 
  (モノローグ)

  ~我が身と心は我が神の御心のままに……

   ……たとえ神に仕えぬ身であっても……か?~

   (モノローグ終了)


〇野営ポイント(朝)


   二日目
   

アルディン「……顔色が悪いな」

男「……そうかい?」

   アルディン辺りを気にする

男「……どうかしたかい?」

アルディン「……いや
     見られておる気がしたが……
     気のせいのようだ……」



〇野営地2



男「……今日はココまでだ……」

アルディン「……お主
     何処で聖騎士を知った?」

男「……
 エン・メサで傭兵をやっていた
 そん時にな……」

アルディン「道理だ……
     だがなぜ今フレーニアに戻ったのだ……?
     傭兵に来たとも思えぬ……」

男「……故郷へ……
 ……村へ
 帰らなくちゃならないんだ……
 ……
 ……置いてきちまったから
 ……
 娘を置いてきちまったんだ……」

アルディン「……」

男「分かってるさ……
 アンタはクローヴァの方から来たんだろ?
 ……てことは 王都だって無事じゃ無いって事くらいは察しがつく……

 ……ミンスキからこっちは完全にメリアの占領下だった……
 だから山越えするしかなかったんだしよ……

 分かってるさ……

 ……けどよ
 帰んなきゃならねぇ……」

アルディン「……」


〇野営地2(夜)


   前夜と同様の展開
  

   (モノローグ)

  ~……我らが来るまでは

   この国の民は安穏に暮らしていたのではないか
   豊かなこの国で……

   豊か……

   だが 過ぎたる富は穢れの元凶だ……
   利は個と我を生じ 人を争いへ駆り立てるではないか……

   汚濁の澱の中で清浄に生きる事が出来るものか?

   ああ……
   だが あの時
   バイア・フレーのあの娘……
   あの娘の心には何の翳りも無かった
   己の運命を受け入れ祈りを捧げていたではないか……

   あのような……
   かつてあのうような澄んだ祈りがあったであろうか……

   神よ……~

   (モノローグ終了)

アルディン「未熟なり……」


男「……グッ うう……!」

アルディン「……ム
     うなされておるのか……」

男「うう……!
 ああ!帰りたくねぇ!
 ……いやだ……
 ……ヒッ!
 見逃してくれ!

 娘がいるんだ……

 ウッ

 うう……」

アルディン「……」


〇野営地2(朝)


   三日目

   ほとんど動けない男がアルディンに話かける


男「……へへ
 これ以上は足手まといにしかならんな……
 置いていけ……」

アルディン「……口が利けるなら案内はできよう
     この森は俺一人では抜けられぬ……」

男「……へ
 『彼我共にあり しかして生死を共にせん』……か
 聖イグナシオよ……」

アルディン「……
     行くぞ……」


〇森の中



アルディン「どうにも見られている気が……」

   足を止める男

男「ググ……」

アルディン「ム……
     どうした?
     ……
     いかんな……!酷い熱だ……!」

男「……ウウ
 許してくれ……!
 ……俺は嫌だったんだ!」

アルディン「落ち着け……!」

男「……ああ!
 もう守ってやれない!

 ……ダメだ
 俺は帰らないと……!

 ……
 オイテイケ……」


   何かが近づく音がする(ドスン)


アルディン「ム……?」

   アルディン 辺りを見回す
   音が大きくなる(ドスンドスン)

   (モノローグ風)

   「マヨッタカ」
   「マヨッタヨウダ」

   「イカニスル?」
   「イカニシヨウ?」

   「クイコロスノガヨカロウ」
   「コロシテカラクラウトシヨウ」

   「アタマヲワッテクラウノダ」
   「ハラヲヒキサイテクラウノダ」

   「ギヒッ シラナケレバイイモノヲ」
   「ゲハッ シロウトオモワナケレバヨイモノヲ」

   「イキタイカ?」
   「ヒトリハミノガシテヤルゾ?」

   「ギヒッヒーヒ!」
   「ゲーハハッハ!」

   『オイテイケ‼』



   戦闘、序盤EV
   

・ある程度のダメージを受ける


アルディン「……ヌウ!」

アルディン「これまでか……!」

   次ターン頭にアルディン回復される
   ナーゼルヘム等が戦闘に参加する

アルディン「ム……⁉」

ナーゼルヘム「フフン 苦戦のようだな?」

アルディン「ナーゼルヘム!
     なぜここに⁉」

ナーゼルヘム「後だ!
      それ!来るぞ!」


   戦闘終了後


ナーゼルヘム「おお なかなか手強かったな!」

アルディン「ナーゼルヘム!
     なぜお主がここに⁉」

ナーゼルヘム「なぜ?
      それは貴公がここにおるからだ」

アルディン「……むう
     さては尾けておったのはお主であったか?」

ナーゼルヘム「さて?
      貴公が言うのは俺かあの鬼か……
      ここまでも勘ゆえ俺には分からんが……(フレーニア人の男に目を留め)
      その男 フレーニア人か?
      マズいのではないか?」

アルディン「……ム」

ナーゼルヘム「どうだ?」

   エルナーズとカリムが男の様子をみている



エルナーズ「完全に気を失ってます」

カリム「……よくこの傷で生きてるものですね……」

ナーゼルヘム「フン……」

アルディン「ナーゼルヘム!」

ナーゼルヘム「おお!
      びっくりするではないか」

アルディン「その男……
     俺が始末をつけるゆえ」

ナーゼルヘム「まてまて 治療しておるのだ!
      まぁ……後は
      好きにするがいいではないか」

アルディン「……ム……」

   ナーゼルヘム辺りを見回し

ナーゼルヘム「……木立に切れ間が見えるな
      どうやら森は抜けられそうだぞ」

   ほどなく

エルナーズ「終わりました」

カリム「応急処置ですのでそれほど長くは……」

ナーゼルヘム「うむでは行くか?
      ……何を呆けてるのだ?
      置いて行ってしまうぞ」

   カリムとエルナーズが男を運び先へと進む

アルディン「……ム
     ……ウム……」


〇丘の上



   森を抜けた丘の上


アルディン「……聞かぬのか?」

ナーゼルヘム「ウン?
      うーむ……
      貴公のことだからな……
      成り行きで助けてしまったのであろう……?」

アルディン「……始めはだ……」

ナーゼルヘム「む……
      その返答では追求せねばならぬではないか……」

アルディン「……構わぬ
     その方が良いのかもしれん……
     もはや 俺自身ににも分からぬ……」

ナーゼルヘム「フーム……
      ……サルマーンから聞いているぞ
      バイア・フレー攻めのおりにも西門でクルキスナ教徒の娘を逃がしたそうではないか?
      この男といい
      同情と云う訳ではあるまい?
      貴公……一体どうしたというのだ?」

アルディン「……ムウ 西門の件知っておったか……

     ……
     ナーゼルヘム……
     お主
     何のために戦う?」

ナーゼルヘム「ム……
      うーむ

      ……
      (カリム・エルナーズに向かって)俺は何のために戦っているのだ?」

エルナーズ「……知りませんよ ご自分でお考え下さい」

ナーゼルヘム「ム……」

   男に異変がありカリムが気付く

カリム「アルディン様……!
   目を覚ましました」

アルディン「……ムウ」

男「……
 ここはどこだ?」

アルディン「森を抜けてすぐの 丘の上だ……」

男「……ああ
 そうか
 ……じゃあ村はあっちだな……

 ……」

アルディン「……」

男「……なあ?
 アンタは神様を信じるかい?」

アルディン「……」

男「俺の一族は代々聖人を祭る役目を持っていたんだ……
 代々が村の祭司だったわけよ……

 ろくに読めもしない書物に囲まれて……
 何百年も前に死んだ誰かの言葉を覚えて……
 一生を墓の掃除で終わらせるんだ

 ……俺は 嫌だったんだよ……
 村以外知らずに生きて 嫁さん貰って 娘が生まれて
 ……いつの間にか歳食ってよ……

 このまま親父のあと継いで老いぼれて行くんだな……って」


男「……流行病で嫁さんが死んでな
 葬式の準備に街まで行ったんだ

 帰り道で魔獣に襲われた……

 目の前で仲間が殺されて……
 おれは……
 あんとき俺は逃げた……
 必死に逃げた……
 気が付いたときゃ
 俺一人だった……

 そんとき 思ったんだ

 ……このまま帰らなきゃ俺は死んだ事になる
 ってよ……
 そんときゃ 自由になった気がしたんだ……

 へへ……
 ……なんで逃げちまったんだろうな……?」


男「なあ……
 あんた
 神様信じるかい……?

 ……おっ
 ……見てくれ
 ありゃぁ……俺の娘だ……
 俺と違ってよ……頭のいい子……だぁ……
 ヘ……ヘ……
 変わってねぇ……なぁ

 ……鐘が……聴こえ……

 ……」


アルディン「……お主は……
     何の為に戦ったのだ……?」


   ワールドマップに出る


『聖堂のある小さな村』



〇聖堂のある小さな村


   開始直後兵が見える位置までEV移動してから会話
   村は方々で煙があがる焼け跡


アルディン「……」

ナーゼルヘム「彼らにも聞いてみるか?
      何のために戦うのか?と
      彼らはきっと神のためと答えるぞ?」

アルディン「……お主はどうなのだ?
     聖騎士として秘法を修め その上で神の為と言えるか?」

ナーゼルヘム「……
      さて……な
      だが 彼らは彼らの神のために戦うのであろう
      ならば我らも同様だろうに……
      神の為には違いなかろう……が
      不毛か……」

アルディン「……」



〇村の中


   村の中心には石造りの聖堂がある
   奥に林、林の奥に共同墓地
   共同墓地の奥には納骨堂がある


・会話


年かさの兵士「邪教徒の神殿ですか?
      早いところ燃やしてしまいたいのですが……
      神官さまがいらっしゃらないと呪いが恐ろしくて……ブルル!」

兵士「坊さん方早く来てくんねーかな……
  ……
  これなんか持って帰りてーんだけど
  ……ダメだろうなぁ」

若い兵士「神官さまはもっと邪教徒を殺さないと神の国に行けないって言うんです
    僕は故郷の爺さんと婆さんのぶんも頑張んなきゃならないんです」

兵士「もう南の穀倉地帯にゃひとりも邪教徒はいませんぜ
  おれたちゃこれといって仕事もなかったんでずーっと北に来たんでスよ」

兵士「え?
  邪教徒どもですかい?
  まとめて裏の林に棄てちまいましたぜ」

兵士「……騎士どの お題目だけじゃ生きられんと思いませんかい?」
   ・選択肢
   「はい」
   「いいえ」

   ・「はい」
兵士「……戦場で集めたもんですがね」
   
   買い物ができる


  ・「いいえ」
兵士「……
  おかてぇ事で……」



川を眺める兵士「ああ……
       流れています……

       はっ!
       この流れる力を使って粉を挽く仕組みを思いついたぞ!

       これはきっと世紀の大発明だ!
       この素晴らしいアイデアを書き留めてなくちゃ!

       !
       紙がない……!」


・『羊皮紙』を持っている


川を眺める兵士「ああ!
       有り難うございます!

       これでアイデアを書き留めておける!

       あ そういえばこんなものを拾ったのです
       メリア様の聖印かと思ったのですが 微妙に違うようです
       何でしょうね?

       興味がおありで?
       お礼というわけではありませんが差し上げます」

   『聖印』を手に入れる



林の前の兵士「……ちゃんと焼くべきでしたなぁ
      ……獣が寄ってきちまって危なくなっちまった
      奥に行くなら気をつけた方がいいですぜ?」



〇共同墓地



ナーゼルヘム「……墓地であったか」

アルディン「ムウ……」


〇納骨堂


   納骨堂に入り少し進むと格子がある

アルディン「……ムウ
     開かぬか……」

ナーゼルヘム「……鍵穴もないな……
      ……ん?
      何か彫ってあるぞ?
      ……聖祖の印章に似ているが
      微妙に違うな
      ……?」

アルディン「面妖な……」



〇聖堂内



ナーゼルヘム「……石造りか
      ……村の規模にしては大きな堂だな」

アルディン「……クルキスナの神を祀っておったか……」

ナーゼルヘム「クルキスナの神なぁ……」


〇司祭の部屋


   聖堂の奥にある司祭の部屋
   クルキスナの経典をみつける


アルディン「クルキスナの経典か……
     ……そもそもクルキスナ教とは何のだ?」

ナーゼルヘム「……知らんのか?」

アルディン「……ウム」

ナーゼルヘム「聖人クルキスナの言葉を経典としたものだそうだ」

アルディン「……その程度は知っておる」

ナーゼルヘム「……だがこのクルキスナの言葉というもの
      実は本人の言葉ではないそうだ」

アルディン「ム……?」

ナーゼルヘム「クルキスナ没後……
      かなりたってから各地の弟子達が集まって編纂したモノらしい
      ……本人の生きた時代には流行らなかったのだろうな」

アルディン「……むう」

ナーゼルヘム「その原典も後の世にいろいろ書き加えられて今の経典になったそうだ」

アルディン「……詳しいではないか」

ナーゼルヘム「バイア・フレーでは退屈であったからな
      図書館の本を焼いてしまう前にいろいろと失敬したのよ……
      ……
      ……怒らぬのか?」

アルディン「その気も失せたわ……
     ……それより聞かせてくれぬか」

ナーゼルヘム「……
      いろいろ書き加えられる過程で聖祖の教えも取り込まれたようだ」

アルディン「……それは知っておる……
     エン・メサでもたびたび耳にしたが「福音の段」であろう?」

ナーゼルヘム「うむ 我らが聖祖の福音では天の国へ至る希望を説いているが
      クルキスナの経典では死の絶望としているのだ
      ……その為に双方で通じる解釈が生まれている」

アルディン「此度の神征か……」

ナーゼルヘム「うむ クルキスナの経典では最終的には皆滅んでしまうようだがな」

アルディン「何なのだそれは……」

ナーゼルヘム「さてな?
      この「黙示録」という段はクルキスナの中でも異端とされているようであるからな
      だが 俺が知る限りではクルキスナの経典内で「神」に触れるのはこの部分だけだな
      少なくともクルキスナの弟子は神の名を語っていない」

アルディン「……ムウ
     ともすればクルキスナの神とは……バカな!」

ナーゼルヘム「……
      気になるならば読んでみるがよかろう?」

アルディン「邪教の経典を読めと……?」

ナーゼルヘム「なに 形骸の書だ
      聖祖の言葉以外は無意味なれば
      毒にも薬にもならぬであろう?」

アルディン「ム……」


   『クルキスナ経典』
   『羊皮紙』が手に入る


   部屋を出る際にナーゼルヘム


ナーゼルヘム「独り者の部屋であったな
      娘とやらはどこぞ嫁に行ったのではないか?」

アルディン「……」

ナーゼルヘム「まぁ 我らが気を病むことでもないな」

   

〇納骨堂


   『聖印』を持っていると格子が開く

   納骨堂の最奥
   小さな祭壇
   奥に聖骸らしきもの

   祭壇の上には小さな宝箱
   宝箱の中には文字の刻まれた石版



アルディン「石版……か」

ナーゼルヘム「……これは神字ではないか……」

アルディン「ムウ……
     読んでみよう……

     『天の眼差しより神託を得ん』」

ナーゼルヘム「神託?聖祖の神託か?
      これも例の黙示録の一部か……?」

アルディン「……

     『我 在りながら無き者
     無限に隔てられし者
     神を識り万象を成さん』

     ……むう
     これは秘法の要訣ではないか?」

ナーゼルヘム「いや クルキスナの経典にも似たくだりはあるが……
      これは神を語っているぞ
      やはり聖祖の教えを伝えたものではなかろうか……」

アルディン「軽率な……!
     これが聖祖の教えを伝えたものであったなら由々しき事ぞ……!」

ナーゼルヘム「ム……すまぬ
      聖祖よお赦しを……」

アルディン「続きを読むぞ……

     『しかして我 彼を知る

     彼 理を求め得ず 伏す
     我 求めず しかして立たん

     彼我 共にあり
     しかして生死を共にせん』

     ……彼我 共にあり
     しかして生死を共にせん……」

ナーゼルヘム「……どうしたのだ?
      その一文 何かあるのか?」

アルディン「む……何でもない……

     『彼我 経ち返り
     胡乱な死が万象を侵す
     彼 虚し

     しかして彼我 生死を共にせん
     伏し 立つ

     胡乱な死が覗き見る
     神の御手は汝が目を閉ざさん』
 
     ……終わりのようだ」


ナーゼルヘム「俺の知る文言とはいささか異なるが
      後半はクルキスナの黙示録に似ている
      ……やはりこれは」

   ナーゼルヘムが何かを言いかける
   アルディンが異常を察知する

アルディン「ム……!」

ナーゼルヘム「!
      なんだこの気配は⁉
      気をつけろ!」



   ボス戦闘

   ボス戦後

   落ちているものに気づく

アルディン「……何か落ちているな
     壷か……」

ナーゼルヘム「……中身は
      ……
      塩か……?」

カリム「それは重宝しますね!」

ナーゼルヘム「では戴いておくとシオう」



エルナーズ「……」

カリム「!
   ……」



   しばしの沈黙
 

アルディン「ナーゼルヘムよ
     石版の最後だが名前らしきものがあるな……

     『~師の言葉 ここに刻まん~ イグナシオ』

     イグナシオ……」

   ナーゼルヘム考えこむ

アルディン「イグナシオ……

     む……?ナーゼルヘム?」

ナーゼルヘム「……イグナシオとは

      ……クルキスナの直弟子の一人だぞ」

アルディン「……!
     ではこの石版の内容はクルキスナ本人の言葉だというのか……⁉」

   
   暗転
   
   場面転換

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