2019年8月13日火曜日

Chapter2:王子カレル-1

  『辺境の村ランスカラ』



〇森の中



   キアラと明らかに人数の少なくなった兵士たちが歩いている
   行軍に付いていけなくなる仲間のところに寄るキアラ
   ゆっくり一歩一歩あるくキアラと兵士


〇草原


   兵士1人少ない
   最後尾の兵が倒れて動かなくなる
   振り返るディーン


〇荒地



   村人に話を聞くキアラ
   兵士はわずか(ディーン、オーサ入れて5人程)


〇ランスカラの集落



   ・フレーニア軍の風評
   ・キアラ達の足跡
   (※前項での描写カット、会話中で説明)
   ・カレル王子の陣がある


〇陣幕

   陣幕に入り暗転
   暗転後 画面上方から陣幕内が降りてくることで時間経過を描写したい


〇陣幕内

   テーブル越しにカレル その脇に大臣二人(「痩せた大臣」「太った大臣」) 
   入り口付近に兵士



痩せた大臣「……ではフレーニア湖にて兵の大半を失ったという事であるな?」


キアラ「はい……」


太った大臣「わずかな手勢でメリアの大軍を相手にしたということであるな?」


キアラ「……はい」


痩せた大臣「お聞きになりましたかな 大臣⁉」
太った大臣「聞きましたとも 大臣!」


痩せた大臣「殿下!
     つまりこのこむす……この者は兵を独断で動かした上にその殆どを失うという失態を犯したのです!」


太った大臣「なるほど大失態ですぞ!
     まったくこのこむす……この者の部下ときたらその半分は老人と子供というではありませんか!」


痩せた大臣「老人と子供⁉
     お聞きになりましたか殿下⁉
     メリアに対し反攻するためにまさに屈強な兵を求めいるというこの時に!
     老人と子供!」


太った大臣「老人と子供ですぞ~!」


キアラ「お言葉ですが……!二人は立派な兵士で」


   大臣が遮る


痩せた大臣「控えぬか!」
太った大臣「その方には聞いておらぬぞ」


痩せた大臣「ご覧になりましたか!この反抗的な態度!」
太った大臣「全くこの小娘ときたら育ちが悪く」


カレル「もうよい わかった」


   カレル立ち上がる


カレル「騎士キアラ」


キアラ「……はい」


カレル「兵は本隊が接収する」


キアラ「……」


カレル「そなた自身の沙汰は追って申し渡す
   承服ならばさがれ」


キアラ「……騎士キアラ 退出します」


   キアラ退出


太った大臣「して命令違反と兵を失った罰はどうなりますかな大臣?」
痩せた大臣「そうですな……百叩きなどはいかがですかな大臣?」


太った大臣「おお!それは」


   カレル、話を遮るタイミングで


カレル「糧秣の問題はどうなったか?」


太った大臣「はは!それは
     ……どうなっていましたかな大臣?」
痩せた大臣「いや はや
     それは 直ちに詮議いたしましょうぞ大臣!」


カレル「……」


   場面転換


〇辺境の村 ランスカラ



   謁見終了後、集落を散策
   一人でフィールドにでることも可能
   フィールドは勝てないワニが出る


   ディーンやオーサと話せる
   他のフレーニア兵とかも話せる


   王子の使いがやってくる


使い「夜に陣幕に来るように」






  『王子カレル』



〇陣幕前



   使いに言われた通り夜にカレルの陣幕を訪れる


キアラ「騎士キアラ参上しました」


カレル「入れ」


   中にはカレルだけ
   カレルはテーブルに向かっている


カレル「ぼくだけだから楽にして」


   間


カレル「……?
   何を驚いている?」(※キアラの演技はなし)


キアラ「殿下……お言葉が……」


カレル「……アハハハハ そうか……
   こちらが素だよぼくは第二王子だったから……
   偉い振りも疲れるな……
   少しかかるから
   どうぞ掛けて」


   戸惑うキアラ


カレル「ベッドにすわるといい」


   キアラベッドの前で逡巡、結局正面に立つ
   ほどなくして


カレル「騎士キアラ
   農村の出 魔獣討伐隊に志願兵として参加 功を重ね騎士叙任に至る……と」


   間


カレル「これまでの任務中 隊内での犠牲者はなし……
   大したものだ……」


   キアラの方を向く


カレル「さっきは大臣が失礼したね」


   キアラ、べッドから離れる


キアラ「と とんでもありません!
   私が勝手に砦を棄てたのは本当です
   ……それに兵を……皆を……死なせました……」


   間


キアラ「どんな罰でも受けるつもりです……!」


カレル「ん……キアラ きみは自分の判断が間違っていたと?」


キアラ「え……?」


カレル「……それは違うと思うよ
   きみの隊が戦わなければあれほどの多くの民が生きてこのランスカラに辿りつくことはなかったはずだ
   ……それに きみが罪に問われるのであれば ぼくも罰を受けねばならない」


   間


カレル「ぼくも守るべき場所を放棄した……いや ぼくの場合は逃亡だから極刑もあるのかな?」


キアラ「そんな……!
   殿下!私はそんなつもりでは……!」


カレル「フフ……分かってるよ
   少し意地悪をした
   ……とはいえ 確かにキアラには罰を与えなければぼくも大臣等に示しがつかないな
   何が良いか考えていたのだけど それを決めるためにいくつか問いたいと思う」


カレル「正直に答えてくれるね?」


   ・選択肢A
   「はい」
   「いいえ」


   「いいえ」の場合
カレル「申し開きはしないと?
   ……どんな重い罰でも構わないのかい?」


   ・選択肢B
   「はい」
   「いいえ」


   「いいえ」の場合
カレル「よろしい」
   以下 選択肢A「はい」と同じ


   
   選択肢B「はい」の場合
カレル「……あい分かった!
   ……ふう 潔いのか頑固なのか……」


   後述『※』にとぶ


   選択肢Aが「はい」の場合
カレル「それでは……
   キアラはなぜ兵になった?」


キアラ「は はい!
   ……私の村は王都より遠くにあり 町へ出るにも険しい山や深い森を抜けなければなりませんでした……
けれど 村には取り立てたものはなかったので町から人が来ることはめったになくて 交易のためには村から
町に人をやるほかなかったんです……
   ……」
   
カレル「……
   続けて」


キアラ「……はい
   森にも 山にも人を襲う魔獣が多く……交易の度に村人が襲われました 時には……町に向かった
五人の村人が 一人も帰ってこないこともありました……」


キアラ「……だから それで……村に魔獣討伐の一隊が訪れた時に 私にも出来ることがあるんだと思って……」


カレル「それで志願したのか?」


キアラ「……はい」


カレル「記録では裕福な家だったようだが?」


キアラ「……いえ……特別豊かということは……
   ……ただ 祖父が村の聖職にあったので大事にされました」


カレル「ん……すると 兵となったのは正義感からか?」


キアラ「……
   ……帰らない村人の中に
   父がいました……」


カレル「……そうか
   理由はよく分かった……


   ……読み書きは出来るか?」


キアラ「あ ……はい!書くことは少しですが……読むのは一通り!クルキスナ様の福音書も少し読めます!」


カレル「うん
   ではもう一つ聞こう
   キアラ 記録によるときみは他の騎士の倍ほどの兵を持っていたようだが 下級騎士のきみには
兵の装備を整えることも難しかったはず 任務中の食料を賄う余裕すらなかったのではないか?
   どうしていた?」


キアラ「……私の任務の殆どは魔獣討伐で 兵は皆……私も含めですが 兵になる以前は自給自足で
生計を立てていた者ばかりだったので山野で食べる事には困りませんでした……
   ……装備は ……定められた基準には……あの……」


カレル「分かった 装備に関しては言わなくていいよ
   ……そうだな……
   キアラ このランスカラをどう見た?率直な感想が聞きたい」


キアラ「感想……ですか?」


カレル「そう 感想」


キアラ「……
   ……とても……
   とても貧しいと思いました……」


カレル「……そう
   この地はロワンナという水源が近いにも関わらず地質のせいか作物がほとんど育たない
   税が取れないから行政府は置かれていない ランスカラはフレーニア王国の領土でありながら
   フレーニア王国ではないんだ
   戦略的な価値は低く ロワンナの大湿原という天然の要害もあるこの地に大部隊を展開するのは難しい 
   メリアの進軍の時間稼ぎにもなるだろう
   ……だからぼくはこの地に陣を構えたのだけど
   ……少々甘かった ランスカラは内にも厳しい……
   この地に暮らす民も生きることが精一杯だというのに 王都から多くの民を連れ込んできてしまった……」


キアラ「……あ」


カレル「……そうだ ぼくの連れてきた兵たちは騎士は貴族が多いし 兵卒のほとんども王都の出自なんだ
   都の人間は豊かな暮らしに慣れてしまっている 自給自足は不可能だ
   大臣は徴発することを考えているようだが そうはいかない
   この地の民にとってはぼくらは外の人間でしかないんだ……
   ぼくは争いの火種を持ちこんでしまった
   早晩 軍の食料は尽きフレーニア人同士が血を流すことになるだろう……
   ……この事態はぜひ避けたい」


   ※(選択肢A「はい」以外からとんでくる)


カレル「……さて 罰とは言ったけれど 実は取り引きみたいなものだ
   目下我が陣営は食糧不足に喘いでいる
   メリアと戦う前にこの問題をどうにかしなければならないんだが……
   ぼくはこの問題を共に考え解決できる人物を求めているわけだけど……
   どうかな……キアラ?」


キアラ「え……?


   ……でんか?
   殿下⁉お お お言葉ですが私にはそのような器量はございません!
   いくら罰とはいえ……
   お お許しください……!」


カレル「……


   ……アハハハハ……!」


キアラ「殿下……?」


カレル「ハハ……すまない!
   キアラにそうしろと言うわけではないんだ!
   キアラにはその人物を連れてきて欲しい……」


キアラ「…………かんちがい…………ですか…………?
   ――――――ッ‼」


カレル「ああ そんなに……
   アハハ!……赤くなるな……!
   これが罰だったと思って許してくれ!アハハハハハ!」


キアラ「……
   ……
   殿下……
   その……
   その 人物とは……?」


カレル「ハハ…………
   …………ふう
   ……うん
   その人物は……以前宮廷に仕えた文官で名は ダーウィーズ・アルカナム
   彼を知るものはデヴィッドと呼ぶ 理由は……会えば分かるだろうね
   ぼくの師でもあったのだけど……今はロワンナの地で隠棲しているようなんだ
   彼の知識は測り知れないくらい深い きっと良い知恵を出してくれるだろう
   だから是非とも陣に招きたい……!
   ……彼の住まいまでは湿地を渡る危険な道だが 王都の兵にはとてもできないだろう……
   ……頼まれてくれるか?」


キアラ「どうしてお断りすることが出来ましょう?殿下のお指図に従うまでです……」


カレル「ありがとう……では 頼む
   ……だが 一人で行けばはいたずらに命を落とすことになるだろう
   きみの部下をつけてやりたい
   が 少々難しい
   この任務が罰とは言えなくなってしまうからな
   だが 誰かしら同行者をつけることは約束しよう
   それと 同じ理由で支度金も用立ててやれない 装備は自分でなんとかしてほしい……」


キアラ「大丈夫です!これ以上何かをして頂いては申し訳がございません!」


カレル「……そうか
   うん ではまあ座れ」


   キアラ座る
   カレル テーブルの方に向かう


カレル「しゃべり通しでのどが渇いた
   何か飲むか?……と いってもぶどう酒しかないが」


キアラ「あ そんな殿下!
   い いえ大丈夫です!
   わたしなどには勿体無い!
   渇いてません!
   大丈夫ですから!」


カレル「もう注いでしまった さあ」


キアラ「……ちょ 頂戴いたします……!」


カレル「……キアラ
   そんなに畏まることはないよ
   ぼくもただの人だ
   ……王とて死ぬんだ……何も変わらない……」


キアラ「殿下……」


カレル「血が古いことの……なにが尊いというのか……
   キアラよ……なにも変わらないんだ
   ぼくも 大臣も 騎士も 都の民も 辺境の民も
   もともとに違いなどないんだよ


   今 出来ることが違うだけだ」


カレル「……
   ぼくは 王政を廃止したい」


キアラ「……
   殿下……あの……」


カレル「……すまない
   杯にあたったかな……
   ……
   ……デヴィッドの力が要る
   まずは勝たないといけないからな?」


キアラ「はい……!」


カレル「……もうじき夜が明ける
   今日と同じように使いをやるから それまでは自由にしててくれ」


   陣幕を出ると空が白んでいる
   


〇フレーニア軍 陣中(朝)



   しばらく自由に動ける
   うわさ話や集落の民からの王都の人間の評価
   フィールドに出ることも出来るがワニが出て死亡


・通常会話


元キアラの兵士「俺たちが今日まで生きてこれたのはキアラのおかげだ
       前におれがしくじって死んじまうような怪我したとき ずっと祈ってくれてたじゃないか?
       あの時 キアラがクルキスナ様に祈ってたとき 不思議と痛みが引いていったんだよ
       あのあとオーサもビックリするほどの回復だったしな!」


元キアラの兵士「ミクシャの奴には驚いたよな……あの大怪我だったってのに敵に突っ込んで行ってさ
       おれ達を逃がすための囮になりやがった……!あの馬鹿野郎!おかげでおれ等は生きてるよ……
       けどよ すごいよな……普通立つことも出来ないはずなのに キアラの為だからって言ってよ……
       ……ほんとすごいよな……
       え?キアラがだぜ?」


見張りの兵士「む?1人で湿原にゆくのか?やめておけ!
      どうしても行くというなら遺言を残すがいい!」(セーブ)


王子の使い「騎士キアラ!殿下のお召しだ!」





  『ライヘル』



〇陣幕内

  陣幕内は昨日と同様の面子


痩せた大臣「では沙汰を申し渡す」
太った大臣「よく聞け」


太った大臣(以下 『太臣』)「こむ……騎士キアラ!
     貴様は命令を無視し砦を放棄した!よってその罰として兵を召し上げる!」
痩せた大臣(以下 『細臣』)「こむ……騎士キアラ!
     貴様にはいたずらに兵を失った!よって罰として ロワンナ湿原に赴き軍師を招致する任を科す!」


大臣's『この決定に不服があるか‼?』


キアラ「御座いません 謹んでお受けいたします」


細臣「ならばよし!
  本来ならば 全ての兵を召し上げるところではあるが この任は確実に達成させよとの殿下のお達しである!」


太臣「で あるからして!
  貴様には兵の半分を返してやろう!立派な兵をな!」


細臣「殿下のご厚情に平伏するがよいぞ!」


太臣「さら~に!」


細臣「今後 貴様が命令違反をしない保証はない!
  よって監視の者をつけることに致した!」


太臣「貴様には勿体無くも貴族である!
  ライヘル卿!
  入りませい!」


   誰も陣幕に入ってこない


太臣「……ヌ?」
細臣「如何した?
  ライヘル卿は外におるのでは無いのか?」


   待機していた兵が答える


兵「ハッ!
 それが先ほど
 『付き合ってられるか』と申し上げられ どこかに行ってしまわれました!」


太臣「なんとー⁉」
細臣「貴様何をしておったか!」


兵「ハッ!
 ライヘル卿は貴族であらせられますので私ごときにはとても意見できませぬ!
 よってお見送りいたしました!悪しからず!」


太臣「バカモーン‼」
細臣「連れ戻してこんかー‼」


兵「ハハーッ!」


   兵、出る


太臣「ウヌー!あの男はまたこれか!」
細臣「全く!さっさと放逐してしまえばよかったのだ!」


   兵、一人で戻る


太臣「ウヌ……?ライヘル卿の姿が無いではないか?」


兵「ハッ!
 ライヘル卿は『大臣の言うことなどいちいち聞いてられるかバカめ』と吐き棄てて去って行かれました!
 なお 言葉はそのまま伝えるよう承っております!
 ライヘル卿は貴族であらせられますので私ごときにはとても意見できませぬ!……悪しからず!」


細臣「‼!―――――――ッ‼」
太臣「ぐあーーーーーーーーっ‼」


カレル「私の命だと言って連れてこい……」


兵「ハッ!」
   
   兵 出て行きしばらくして戻る
   後ろからライヘル入る


ライヘル「チッ……殿下に置かれましてはご機嫌麗しく何より……」


細臣「―――――‼―――――ッ‼」
太臣「おおーーーーーーーーっ‼」


カレル「おかげでな」


ライヘル「私めなどに何かごようですかな?」
   
   大臣達を見る


細臣「――ッ!――ッ!――ッ‼」
太臣「あがーーーーーーーーっ‼」


カレル「……大臣達は口が利けなくなったゆえ私から説明しよう
   そこにいるのが騎士キアラだ」


   ライヘル、キアラを一瞥


ライヘル「この小汚い小娘がなにか?」


カレル「うん
   デヴィッドを軍師として連れて来てくれるように頼んだ
   共に行ってくれ」


ライヘル「…………‼⁉」


   ライヘル、大臣を見やってカレルに向き直る


カレル「大臣の推薦だ
   私も適任だと思っている」


   ライヘル、大臣とカレルを交互にみやる


カレル「キアラ
   寄れ」


   キアラ、カレルに近づく


カレル「親書だ ダーウィーズ・アルカナムに宛ててある
   ……ライヘル卿は並みの騎士よりよほど腕が立つ 道中頼りになるだろう
頼むぞ」


キアラ「はい!殿下!
   この任 必ずや果たしてご覧にいれます!」


カレル「うん では準備が整い次第出発してくれ
   キアラの兵は表に待たせている
   ……ああ ライヘル卿には話がある 残ってくれ」


キアラ「それでは……ライヘル卿 先に外でお待ちしております!」


ライヘル「…………」


   キアラ陣幕出る
   陣幕を出るとディーンとオーサがいる



〇陣幕外




キアラ「ディーン!オーサ!」


ディーン「キアラ!
    王子様の使いが来て俺とオーサはキアラに付いていけって!」


オーサ「どうやら厄介払いされたようだの……」


キアラ「何を言うんだ!こんなに頼りになる仲間は他にいないよ!」


ディーン「へへ!任せてくれ!」


オーサ「……足手まといにならんようにするよ」


オーサ「……ところで わし等の他には誰もおらんのかの?」


キアラ「……あ ああ
   ……うん いるんだけど ちょっと難しいお方のようなんだ……」


ディーン「難しいお方?偉い人なの?」


キアラ「……貴族だ」


ディーン「えええ⁉」


キアラ「殿下からかなりの使い手だと伺った」


ディーン「スゲー!剣術とか教えてもらえるかな⁉」


キアラ「う……どうかな……
   難しいと思うよ」


ディーン「ええ~」


オーサ「……なぜ貴族が?
   貴族が同行するような任務なのかの?」


キアラ「うん……それが」


   ライヘル出てくる


ライヘル「貴様らの目付けだ!」


ディーン「ヒ……
    こわ……」


   ライヘル、一瞥する


ライヘル「じじいとガキとは……チッ
   いいか 今劣勢にあるフレーニア軍を勝利に導く賢者をお迎えするのが貴様らの役目だ!
   任務を放棄して逃げるようならば斬り捨てるからな!」


キアラ「ライヘル卿 大丈夫です この2人はそんな臆病者ではありません
   この任務では頼りになると思います」


ライヘル「……チッ‼


    小娘!今後は敬称をつけるな!じじいとガキもだ!
    いいか!次に卿呼ばわりしたならぶった斬るからな!
    様付けもだ!」


キアラ「え?


   ……あの?なぜです……⁉」


ライヘル「任務中は身分の区別なくせよとの殿下からのお達しだ!
    分かったか⁉」


キアラ「え?……あ はい」
ディーン「ああ……え……ヘ?」
オーサ「……」


ライヘル「出発準備が出来たら知らせろ!
    チッ!全く不愉快だっ!」


   ライヘル去る


ディーン「……え?……なぁ?」
オーサ「……ウム……」
キアラ「……殿下?」


・陣中と村での会話



ディーン「……あんな高慢な奴とうまくやれるわけないよ……顔は悪魔みたいに怖いしさ……」


オーサ「……何事も外側だけで判断してはいかん とは思うがの……」


大臣「おのれライヘル!小娘ともどもワニに食われてしまえ!」
大臣「えーい!忌々しい!まったく忌々しいぞい!」


カレル「アルカナム卿はロワンナ湿原を抜けた先に住んでいる
   頼んだよ キアラ」


王都から逃げてきた人「いや!あの時はもう駄目だと思ったね!
          門が開いたらズラッとメリア兵が並んでたんだ!
          その数一万!
          もう生きた心地がしなかったよ!


          え?どうして切り抜けたって?
          兵隊さん達がメリアの兵士共をちぎっては投げ!ちぎっては投げ!
          俺たちの後ろに三万人のメリア兵の死体が積み上げられた訳よ!」


王都から逃げてきた人「ああ 湖ではもう駄目かと思ったよ
          ……え⁉助けてくれたのはあんた達だったのかい⁉」


王都から逃げてきた人「王子様の一行を追いかけてきたんだ 他にもそんな人たちがたくさんいるよ」


王都から逃げてきた人「王都からはずいぶん人数が減ってしまったよ 途中でついて来れなくなった連中は
無事かなぁ……」


王都から逃げてきた人「王都は大変なことになってるみたいだね……
          あの時カレル様が門を開けていなかったと思うと……(ブルル)」


兵士「王子様がな こう仰ったんだ
  死にたくなければ付いて来い!
  ってな……俺ぁ偶然そこに居たんだが
  こうして生きてるよ」


兵士「俺 あの時開門を命じられたんだけどさ 騎士はみんな反対していたんだ
  実際将軍のとこへ行っちゃった方も居たみたいだよ」


兵士「王都の連中にはけつまくって逃げたと思われてるんだろうな……」


兵士「俺たち町の皆逃がすのに頑張ったんだぜ……」


ベッドに横たわる騎士「……
          死に損なった」


騎士「ローブ姿のメリア騎士は聖騎士と呼ばれている
  奴らは教会の騎士だ
  メリア騎士の中には妖術を使う者がいると聞くが 奴らの事ではなかろうか?」


騎士「あの時 包囲は完全ではなかったとはいえ我々も無傷では済まなかったのだ
  メリアの将とおぼしき騎士は凄まじい使い手であった……何人の騎士が犠牲になった事か……」


騎士「北門に行ってしまったのはウォレス子爵とスナウト卿だ
  今彼らが居たならば……
  いやよそう 彼らは死に場所を得たのだ……」


   ライヘルに話かけると出発の選択肢が出る


ライヘル「いつまで待たせる気だ!
    準備は出来たのか⁉」


   ・選択肢
   「はい」
   「いいえ」


   「はい」
ライヘル「ならば行くぞ!」


   「いいえ」
ライヘル「さっさと済ませろ!」




〇ロワンナ湿原



   会話イベントなし


  『賢者の庵』



〇賢者の庵  



   湿原を抜けて庵を発見する
   中に入ろうとすると異臭にライヘルが反応する


ライヘル「うっ!
    なんだ⁉この匂いは!
    たまらんな……!
    俺は外にいるぞ……」


オーサ「薬品と香草の混じった匂いだじゃの……」


キアラ「……嫌いじゃないな……
   すみません!どなたかいらっしゃいませんか!」


   中に入るとベルナデッタが出迎える(※表記「むすめ」?)


むすめ「……どちら様でしょうか?」


キアラ「……綺麗な髪……(一息に)」


   間


むすめ「…………あの?」


キアラ「あ……
   失礼しました!
   私は騎士キアラ
   カレル王子殿下の命で 殿下の師ダーウィーズ・アルカナム卿を探しています
   この庵に卿がお住まいではないかと思いお伺いしたのですが……」


むすめ「まぁ……それは立派なお役目ですね……
   ……けれど……申し訳ありません
   ダーウィーズ・アルカナムという方は存じ上げません……
   それにそのような立派な方が……このようなあばら屋にお住まいになるとは思えませんわ……」


キアラ「……そうですか もしやと思い立ち寄ってみたのですが……
   お邪魔いたしました……」


むすめ「あの……!」


キアラ「……何でしょう?」


むすめ「……どこかで お会いしませんでしたでしょうか?」


キアラ「……え


   ……
   ……!
   湖畔で……⁉」


むすめ「やっぱり!
   あの時の騎士様!」


キアラ「無事だったんですね!」
むすめ「無事でいらしたのですね!」


キアラ「よかった……
   …………」


ベルナデッタ「…………騎士…………さま?」


キアラ「…………
…………ごめ んなさい…………」
少しの間
キアラ「あの えと……」


ベルナデッタ「……ベルナデッタです」


キアラ「ベルナデッタ……
   生きていてくれて嬉しいよ……」


   オーサ、ディーンも入ってくる
   ディーン、キアラを見てからオーサに話しかける


ディーン「…………キアラ
    目が真っ赤だよ…………」


オーサ「…………こういうときは黙っているもんじゃ」


ベルナデッタ「……
      ……お茶を淹れます
      ……休んで行って下さい
      程なく主も戻られますから……」


キアラ「主……?」


   ベルナデッタ、お茶の準備をしながら答える


ベルナデッタ「はい
      ……あの後
      あても無く彷徨っていた私を助けてくれた方です
      今 私はその方の身の回りのお世話をさせていただいているのですが……
      ……どうぞ」


キアラ「あ ありがとう
   その方は?」


ベルナデッタ「……ええ 人がお嫌いだとかで……滅多に人にお会いにならないそうなので すが……
      とても博学な方で 古今東西のあらゆる学問に精通しておいでです
      ……キアラ様のお力にもなってくださると思うのですが……」


キアラ「……人が嫌い……」


ベルナデッタ「……ええ でも
      ……きっとキアラ様にはお会いになると思います」


   しばらくしてデヴィッド登場


ベルナデッタ「あ お帰りなさいませ……
      ……」


庵の主「……
   お客様かい?」


ベルナデッタ「……すみません」


庵の主「いや 構わんよ
   今日の客は特別のようだから」


キアラ「あ……
   留守中にお邪魔してすみません!
   私は王国騎士のキアラと申します……」


庵の主「ああ そこまでで結構
   カレル王子殿下の使いで 人を探しておいでなのではないかな?」


キアラ「……⁉
   は はいその通りです!」


庵の主「探し人はどなたかな?」


キアラ「殿下の師 アルカナム卿です」


庵の主「フム……名は?」


キアラ「ダーウィーズ……」


庵の主「……ダーウィーズ・アルカナム卿……フム
   キアラと言ったね?
   キミはその娘……ベルナデッタにも同じ質問をしたね
   そしてベルナデッタは「知らない」と答えた
   違うかね?」


キアラ「……そ そうです……」


庵の主「それではベルナデッタも困っただろう?」


ベルナデッタ「すみません……どうしていいか分かりませんでした……」


庵の主「いや いい
   よくもてなしてくれた」


   間


庵の主「分からないかな?お嬢さん」


キアラ「?」


庵の主「わたしがダーウィーズ・アルカナムだ」


キアラ「え?ええ?」


ベルナデッタ「御免なさい キアラ様……私……あの……」


デヴィッド「ああ ベルナデッタを責めないでやってくれ
     キミ達に嘘をついたのはわたしの指示なのだから」


キアラ「……ど どういうことなのでしょうか?」


デヴィッド「フム……キミは殿下から何か聞かされてないかな?
     そうだな……わたしの呼び名などについては?」


キアラ「……え……
   ……あ!
   あなたを知る方はデヴィッドとお呼びになると……
   それと 会えば分かると……!」


デヴィッド「そういう事だよ」


キアラ「……」


   間


デヴィッド「……
     ……フム
     わたしはあまり人に会いたくないのだ
     無遠慮な客人に思索の時を奪われる事ほどうんざりする事はないからね
     だからベルナデッタには『ダーウィーズ・アルカナムを訪ねて来るものがあっても知らないと答えるように』と
     申し付けておいたのだよ
     客の中には知己も居るが 彼らは『デヴィッド』を訪ねてくるからね
     しかし『ダーウィーズ・アルカナム』を訪ねてきたのが王子殿下の使いだったのだから ベルナデッタも
     困っただろう……と……そういう事だよ
     理解したかね?」


キアラ「……あ は はい すみません!」


デヴィッド「だが……困った理由は他にもあったみたいだね ベルナデッタ?」


   ベルナデッタを見やり
  
デヴィッド「この騎士キアラが フレーニア湖でお前を助けた騎士だね?」


ベルナデッタ「はい デヴィッド様」


デヴィッド「そうか ならば今日はキミの恩人をもてなすとしよう 鳥を絞めてくれるかな?
     やり方は知っているね?」
ベルナデッタ「……はい!ありがとうございます!」


ディーン「やた!砦を出てから初めてまともな食事だ!」


    翌日からニワトリが居なくなる…………


キアラ「……そんな私たちのために……」


デヴィッド「あの娘はここへ来てからというもの彼女を助けた騎士の話ばかりするのだよ
   それも瞳を煌かせて サーガに出てくる英雄の話をするかのごとくだ」


キアラ「…………」


ディーン「……
    オーサ大変だ キアラ熱があるみたいだよ
    耳まで真っ赤だ……」


オーサ「……そうじゃな……
   ……熱かもしれんな……」


キアラ「……
   アルカナム卿……ここに殿下からの親書が……」


デヴィッド「ありがとう
フム……ああ そうだキアラ 今後わたしの事はデヴィッドと呼び尊称も控えたまえ」


キアラ「……はい……?
   しかし なぜでしょうか?」


デヴィッド「ダーウィーズは古い習わしの呼び名だ
     時代は常に移ろうものであり 柔軟な発想は身分や階級に囚われてはならないのだよ
     人の進化というものは常に……フム……そういえば殿下にも同じようにご教育差し上げたのだが
     あの時は陛下の不興を買ってしまったな ……殿下はお元気かな?」


キアラ「はい!デヴィッド様と同じことを仰っておりました……!」


デヴィッド「フム……上に立つものが…………いや今の殿下の立場でそれではいかんな……」


キアラ「……
   あの もう一つお聞きしていいでしょうか?」


デヴィッド「なんだね?言ってみなさい」


キアラ「なぜ私が殿下の使いだと分かったのでしょうか?
   それに人を探していることまで……」


デヴィッド「フム……
     表に 見知った顔があったからね
     アレを寄越すのは殿下ぐらいのものだろう
     それに王国の貴族がこんな辺鄙な所に来る理由はそんなに無いよ」


キアラ「……あ ライヘル卿……あ いやライヘル……」


デヴィッド「ライヘルで大丈夫だろう アレでなかなか柔軟な男だ」


キアラ「ご存知だったのですか?」


デヴィッド「ご存知もなにも……教え子だよ 彼も」


ディーン「ええ!あのアゴ貴族の先生だったの⁉」


キアラ「コラ!失礼だぞ ディーン!」


デヴィッド「なに 構うことはない


     殿下もライヘルも あの頃 貴族の若者はほとんど私の生徒だったよ」


ディーン「あわわ……なんだかすごい人だ……」


デヴィッド「さて 食事の支度が整うまでの間 わたしは殿下からの手紙を読むとするが
      キミ達は自由にしているといい 空腹になったら声をかけてくれるということでも構わないが?」


キアラ「あ では私はベルナデッタを手伝ってきます」


デヴィッド「フム……客人を働かせるのは……うん まあ好きにしたまえ」


   無音になり 大きなドアの音と共にベルナデッタが飛び込んでくる


キアラ「どうしたの⁉」


ベルナデッタ「……表に 見るからに恐ろしい男が……」


   沈黙


ベルナデッタ「……?」


デヴィッド「……フム 損な男だ」


   転換


   庵の中 時間経過はほとんどない
   自由に動ける


デヴィッド「わたしは殿下からの手紙を読むとするが キミ達は自由にしているといい
     空腹になったら声をかけてくれ」


ベルナデッタ「……とても……
      ……恥ずかしいです……」


ディーン「ヒヒヒヒヒ!腹が……ヒッ 腹が痛いよ……!」


オーサ「……何事も外見で判断しては……の?」
 


   ライヘルは表にいる


ライヘル「……失せろ」
    「……殺すぞ」
    「……」(三回以上話かけるとエンゲージとか……)


   デヴィッドに話かけると食事になる


デヴィッド「フム……飢餓感を覚えたかね?」
   ・選択肢
   「はい」
   「いいえ」
   


   「はい」
「ではベルナデッタ食事にするとしよう 支度をしてくれ」


  『エンゲージ』



〇庵の中(夜)



   食卓を囲んでいる


ディーン「うう~もう食べられない!」


ライヘル「ふん 不味くはなかったな!」


キアラ「とても美味しかったよ ベルナデッタ!」


ベルナデッタ「うふふ ありがとうございます」


デヴィッド「フム……賑やかな食事もたまには悪くないな


     さて 本題に入ろうではないか
     親書は読ませてもらったよキアラ
     殿下はこの戦争に勝つつもりらしいな」


キアラ「はい その為にもデヴィッド様を軍師としてお迎えしたいのです……!」


デヴィッド「……
     ディーン君 フレーニアはメリアに勝てると思うかね?」


ディーン「え⁉おれ?
    ……
    ……当たり前だ……!」


デヴィッド「オーサ殿は?」


オーサ「……わしには難しい事はよく分かりませんな……」


デヴィッド「フム……ライヘル?」


ライヘル「……」


デヴィッド「キアラ キミはどうか?」


キアラ「……私は……
   ……」
   
   キアラを見ていたベルナデッタが口をひらく


ベルナデッタ「……
      デヴィッド様……
      ……フレーニアは……勝てないのですか?」


デヴィッド「フム……
     断言はせんが難しいな」


ベルナデッタ「……そんな……!……キアラ様……?」


キアラ「……確かに王都は……
   けれど 王都での戦いに参加していない騎士団や 町だってたくさん残っていて……
   それに王子殿下もまだご健在です……!」


デヴィッド「フム……戦況を確認するかね?」
   
   選択肢
   ・はい
   ・いいえ(『※1』にジャンプ)


   
   「はい」の場合


デヴィッド「フレーニアとメリアの戦端が開かれたのが一昨年の『アクサの大虐殺』だ
 この事件でフレーニアは国境の防壁を獲られてしまったが メリアの主力は依然エン・メサと交戦中であり
フレーニア騎士団の主力をもってすればアクサ奪還は難しいことではなかったろう
     しかし ヨーゼフ陛下はメリアとの全面戦争になることを恐れアクサ奪還には最小限の兵しか
     出さなかったのだ
     アクサでは一進一退の攻防が続き その間にエン・メサ公国は滅んでしまった
     結果メリアの主力がアクサへ進軍を開始しアクサ攻略は困難なものになってしまい最も恐れていた
     メリアとの全面戦争になってしまったわけだ


そして昨年 正攻法でのアクサ奪還は難しいとみた我が国は 各地からの増援とアクサ方面に展開していた
     騎士団を纏め大部隊とした上でフレーン川の西岸に陣を敷いた
     攻城戦を諦め野戦で決着をつけようとしたわけだが……
     まさかの敗北を喫し 戦線が更に後退し結局王都バイア・フレーで篭城することになり……


     フム……この先は必要ないな キミたちの方がよく知っている」


ベルナデッタ「…………」


   ※1(「いいえ」の場合ここから)


デヴィッド「では改めて問うがフレーニアに勝機はあるかね?」


キアラ「……
   ……勝ちます 勝てるはずです!」


ベルナデッタ「……キアラ様……」


デヴィッド「……ふむ なぜそう思うのかね?」


キアラ「……私には難しいことは分かりませんが……
   殿下は私に政道についてお話くださいました……


   殿下の……戦いの先の御治世です……
   そのためにデヴィッド様のお力が必要なのだと……


   私は殿下を信じます!
   だから……私は勝てると思います!」


デヴィッド「……先の治世
     確かに 殿下は勝つつもりだろう……


     ……だがね
     今のままでは間違いなく勝てないのだよ……」


キアラ「……なぜでしょうか?」


デヴィッド「フレーニアが勝利するためには『あるもの』が必要なのだが 殿下はそれをお持ちでない
  それがなくてはフレーニアは勝てず 後の世も無く それどころか私が殿下の元に参陣することもないだろう」


キアラ「そんな……」


デヴィッド「最後まで聞きたまえ
     これは殿下もご承知だ
     それに それがあれば私は喜んで殿下の元へ行くとも
     どうだね キアラ?」


キアラ「……その『あるもの』とは何でしょうか?」


デヴィッド「ふむ……
     ……
     ……ふむ これを説くは難しい……いや 説明するのは簡単だが理解するのは難しいとでもいおうか……
     それは機より生まれ 機を生み出すものであり 我々を繋ぐものでもあり 紡ぐものでもある
     我々を決定付けるものでもあり あるいは打ち消すものでもある
     フム 前文明の遺物とも 神の御業ともいわれるが
     モノのようでありモノではない 事象とでもいうおうか……
     だが一目でそれと分かるものでもある」


ライヘル「……回りくどいぞ」


デヴィッド「仕方あるまい そういうものなのだ」


ライヘル「……」


デヴィッド「キアラ キミは禁じられた言葉を知っているかね?」


   ・選択肢
   「はい」
   「いいえ」(『※2』にジャンプ)


   
   「いいえ」の場合 ※3(「いいえ」の場合ここから)


デヴィッド「人には課せられた役割というものがある
     ……それは己が決めるというものもいる
     だがそれは己以外の誰かが決めるものだともいう
     また一方では神により与えられるものだともいう


     我々という存在は何者かの認識により定義される


     ヒトは選択しなければならない
     自らに向けられる『まなざし』を受け入れるのか あるいは拒絶するのか
     だがそれは人物の器量が問われることでもある
     多くの事柄を経験したものは多様なヒトの心理を汲み取ることが出来るだろう
     幾度となく死線をくぐり抜けた戦士もまた大きな器をもつものだ


     ……フム これから語るのは世界を崩壊させる禁忌の言葉だ
だがよく聞きなさい


     『ESCキー』を押すと『メニュー』が表示されるだろう」


キアラ「エスけ……?」


   デヴィッド キアラの言葉を遮り


デヴィッド「口にするな!
     本来 私もキミも知ってはならない言葉なのだから
     ……そこに表示されているはずだ
     『エンゲージ』と
     それこそが キミたちが戦うための力になるものだ
     キミはこれからの戦いの中 様々な人々から『まなざし』を向けられるだろう
     私から 仲間から 世界に暮らす人々からの
     『まなざし』……だがそれを持っているだけでは何も起こらない
     『エンゲージ』の中から選んで『まなざし』を装着していくことで真実としていくのだ
     『エンゲ-ジ』で『まなざし』を装着することでキミは新たな力を得る事が出来るだろう
     より多くの『まなざし』を装着できればより多くの力を手に入れることが出来るはずだ
     だが 『まなざし』を装着するには一定の『CP』が必要になる
     『CP』とは人としての器の大きさだ これは人により背負える業に限りがあるという事なのだが……
     フム……既に気が付いているかもしれんが 『CP』はレベルを上げる事により上限を上げる事が可能だ
     より大きな力を得るためにはレベルを上げる必要があるだろう レベルはモンスターを倒す事により
     得られる経験値で上がる 『CP』が欲しければ逃げてばかりではいかんだろう
     『CP』は『まなざし』を解除することで元の値に戻る
     勝てない敵などにはパーティーの『エンゲージ』を見直して再戦するのも手だろう


     難しいものではないよ 使っている内にわかるだろう
     理解できたかな?」




   ・選択肢
   「はい」
   「いいえ」(『※3』にジャンプ)


   「はい」の場合 ※2(「はい」の場合ここから)


デヴィッド「ならばクラダの古城跡に行きたまえ そこで『あるもの』を手にする事ができるはず」


キアラ「クラダの古城……」


デヴィッド「ロワンナ湿原を北に抜けた先にある
     聖クルキスナの時代より古くからあり 時の権力者が城として利用していたようなのだが
     実際には……フム まぁとにかく古い遺跡だよ 
     今日はもう遅い明朝にでも出発したまえ 」


デヴィッド「ハーブで淹れたお茶だ 疲れが取れるだろう
     それを飲んだら休みなさい」


   暗転


   翌日


〇賢者の庵(朝)


デヴィッド「よく寝られたかな?
     ロワンナ湿原を北に抜ければすぐにクラダだ」


   ベルナデッタに話かけると薬草がもらえる
 
ベルナデッタ「お気をつけて……(薬草を手にいれた!ピコンッ)」























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